iPS細胞で視床下部下垂体ユニットが!のインパクト(速報版)

今日、泌尿器科受診して、中枢性尿崩症のお薬(ミニリンメルトOD錠ほか)を服用していくのを忘れたので、尿検査で出した尿が、尿比重1.000、pH7.0(中性)と、ほぼ真水でしたよ、HAHAHA!、みたいなエントリーにでもしようかと思っていたら、それを吹き飛ばすニュースが飛び込んできました。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Cel_Rep_200107.pdf
(名古屋大学のプレスリリース)

これ、すごいニュースです、私のような、視床下部・下垂体障害のひとにとっては。あまりの感動のあまり、ツイッターで解説の連ツイ(連続ツイート)もしましたので、それをツイッターモーメントにまとめましたので、それもご覧頂ければ。

https://twitter.com/i/events/1217969578350764032

(「視床下部〜下垂体系疾患について(iPS視床下部下垂体に寄せて)」
iPS細胞で、視床下部下垂体ユニットが出来たとの報告がなされましたので、それについての雑感と、視床下部〜下垂体系疾患についての簡単な解説です。)


ツイッターモーメントをご覧頂ければわかるように、視床下部・下垂体(脳の「間脳」と呼ばれる部分です。)が障害されると、各種の生きていくために必要なホルモンが出なかったり出過ぎたりで、いろいろな問題を引き起こします。その問題について、現在の医学では根本的な解決法がないため、足りないホルモンは飲み薬や点鼻薬、注射などで補い、多すぎる場合は薬で抑えたりする、対症療法しかないのが現状です。私も、欠けているホルモンについて、薬を内服したり、点鼻したり、注射したりしています。

視床下部〜下垂体ホルモンでは、命に直結する、「副腎皮質ホルモン」(視床下部→(CRH)→下垂体→(ACTH)→副腎皮質→(副腎皮質ホルモン:コルチゾール)→全身)や、また「甲状腺ホルモン」(視床下部→(TRH)→下垂体→(TSH)→甲状腺→(FT4、FT3)→全身)、また、「抗利尿ホルモン」(視床下部→下垂体後葉→(ADH:バソプレシン:抗利尿ホルモン)→腎臓(尿再吸収:濃縮))など、大切なホルモンが作られています。

また、命には直結しないですが、でも大切な、「性腺ホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン)」にも関わっています(視床下部→(GnRH)→下垂体→(LH、FSH)→性腺(卵巣・精巣)→(性腺ホルモン:男性ホルモン・女性ホルモン)→全身)。また、成長やその他にも関わる「成長ホルモン(GH)」、乳汁分泌その他に関わる「プロラクチン(PRL)」といったホルモンも、視床下部・下垂体から制御されて分泌されています。


脳がコントロールするくらいなので、当然ながら一定量で足りるホルモンではなく、身体の状態にあわせて分泌量が変化するホルモンであるため、薬で投与するにしても分量が難しいホルモンたちなのですが、でも薬で投与となると、決まった量の投与になってしまい、ダイナミックに変化させることが難しい(副腎皮質ホルモンについては、医師の指導の下、身体的負荷の状況に応じて変化させるよう指示されている方も多いですが)ので、全身倦怠感やその他の症状が現れることも多いです。また、調整が完全に失敗になると、生命の危機に陥ることもあります。

今回のこのiPS細胞による「視床下部下垂体ユニット」の何がすごいかというと、ホルモンをただ分泌するだけではなく、低グルコース(ブドウ糖)液に浸したところ、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌量が増えた、というところです。低血糖(低グルコースということは、要は低血糖状態)など、生命の危機的状況になると必要になるのが、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)なわけなのですが(なので、別名、ストレスホルモンとも呼ばれたりします)、この「視床下部下垂体ユニット」は、低血糖状態=生命の危機的状況を自己感知・判断して、副腎皮質ホルモンを増やすために、ACTHを増やした、ということになります。ちゃんと視床下部のセンサーや判断機能が働いている、ということです。


視床下部・下垂体障害の診断の際に用いることのある、「インスリン負荷試験」というのが、まさしくこの原理を利用しているものでして、インスリンを大量投与して低血糖状態にして、視床下部が危機的状況であると判断するかどうか→(CRHや)ACTHを増やすかどうか、を診る検査があります。生命の危険性もある、危険な検査ですが、でも必要な検査でもあります。私も過去3回経験しています。

iPS細胞による「視床下部下垂体ユニット」、まだ臨床(実際の治療に使う)レベルには遠そうですが、でも、視床下部〜下垂体系はまだまだブラックボックスの部分も多いため、その解明や、治療法の開発に役立つ可能性が高いと言うことで、非常に大きなニュースです。

あ、視床下部・下垂体系については、また時折、エントリーを設けて書いていきたいと思います。