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 yuki.ms難病法案まとめページ > 難病法案〜解説 > 第1章〜難病法案〜逐条解説
※漢数字については、見やすさを考えて、一部を算用数字に変更しています。


難病の患者に対する医療等に関する法律案

第1章 総則

 (目的)
第1条 この法律は、難病(発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう。以下同じ。)の患者に対する医療その他難病に関する施策(以下「難病の患者に対する医療等」という。)に関し必要な事項を定めることにより、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上を図り、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。
 この法律(案)の目的が書かれています。法律(案)全体の骨格になる部分です。また、この法律を作るに至った理由が書かれています。また、難病とはなにか、という、言葉の定義もされています。
 難病の定義については、難病とは、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾患にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」とされています。
 このあたりは、従来の難病の定義とされている、昭和47年の難病対策要綱で述べられている、「(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が 慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」を基本的に踏まえた上で、そこに「希少な疾病」と希少性を書き加えたことになります。
 その難病患者に対して、医療やその他難病に関する国や地方公共団体等が行うべきことを、この法律では定めることになります。
 そして、この法律(案)では、最終的には難病の患者に対して、(1)良質かつ適切な医療が受けられるようにする、(2)療養生活の質の維持と向上を図る、ことで、国民の保健の向上を目指すことを目的としています。
 「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(平成25年法律第120号)の第4条第10項、第11項を踏まえていて、その内容を実現するため、というのも、この法律の目的であります。
持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(抄)
(平成二十五年十二月十三日法律第百十二号)
第4条(抄)
10  政府は、この法律の施行の際現に実施されている難病及び小児慢性特定疾患(児童福祉法第二十一条の五 に規定する医療の給付の対象となる疾患をいう。以下この項において同じ。)に係る医療費助成について、難病対策に係る都道府県の超過負担の解消を図るとともに、難病及び小児慢性特定疾患に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度(以下この項において「新制度」という。)を確立するため、新制度の確立に当たって、次に掲げる事項その他必要な事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
一  新制度を制度として確立された医療の社会保障給付とすること。
二  新制度の対象となる疾患の拡大
三  新制度の対象となる患者の認定基準の見直し
四  新制度の自己負担の新制度以外の医療費に係る患者の負担の軽減を図る制度との均衡を考慮した見直し
11  政府は、前項の措置を平成二十六年度を目途に講ずるものとし、このために必要な法律案を平成二十六年に開会される国会の常会に提出することを目指すものとする。
 (基本理念)
第2条 難病の患者に対する医療等は、難病の克服を目指し、難病の患者がその社会参加の機会が確保されること及び地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することを妨げられないことを旨として、難病の特性に応じて、社会福祉その他の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に行われなければならない。
 この法律(案)全体に対する、基本理念として、この法律がどういう役割を果たすべきなのか、またどういう方向付けの法律であるかが書かれています。
 難病患者に対する医療等は、下記のことを尊重して、実施されなければならないとされます。
(1)難病の克服を目指し
 難病の制度自体が、「難治性疾患克服研究事業」として以前から実施されて来ましたので、それを踏まえた条文となります。最終的には、難病自体の克服を目指すために、治療研究や、さまざまな施策がとられることになります。
(2)難病の患者がその社会参加の機会が保障されること
 難病患者自身が、社会参加(日常生活にとどまらず、必要に応じて、働いたりとか、コミュニケーションをとったりとか)が出来るように、そのことが妨げられないようにしなければいけないとされています。
(3)地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することを妨げられないこと
 普段の生活において、難病があるからといっても、個人の尊厳(その人がその人らしく生きること)が守られ、その人らしい生き方を難病を理由にダメだとならないように、また地域社会において、難病があっても他の人と共に生きて行くことが出来るようにするとされています。そして、難病を理由として、個人の尊厳が守られなかったり、他の人々と共生出来ないことのないように、国や地方公共団体等は、努力しないといけないとされています。
 上記のことを実現して行くために、国や地方公共団体等は、社会福祉として既にある、または今後出来る社会福祉制度や、また難病に限らず、いろいろな関係してくる法律や制度などと、綿密に、また血の通った連携を行うように、また全体を見渡して総合的に実施しなければならない、と理念として掲げられています。
 上記の事柄を実施できるように、この法律(案)においては、その具体的内容をそれぞれ、必要事項が掲げられることになります。
 (国及び地方公共団体の責務)
第3条 国及び地方公共団体は、難病に関する情報の収集、整理及び提供並びに教育活動、広報活動等を通じた難病に関する正しい知識の普及を図るよう、相互に連携を図りつつ、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
 2 国及び都道府県は、難病の患者に対する医療に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、難病の患者が良質かつ適切な医療を受けられるよう、相互に連携を図りつつ、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
 3 国は、難病に関する調査及び研究並びに難病の患者に対する医療のための医薬品及び医療機器の研究開発の推進を図るための体制を整備し、国際的な連携を確保するよう努めるとともに、地方公共団体に対し前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。
 本条では、前の2つの条文で書かれている内容を実現するために、国や地方公共団体(都道府県・市町村)に対して、次のことをするようにしなければならない、と定めるものです。
努力義務ではありますが、法律というかたちで決められている以上、国や地方公共団体(都道府県・市町村)は、出来る限り、ここに書かれていることをするよう、努力しないといけないということになります。
第1項:国および地方公共団体(都道府県・市町村)は、難病に関する情報を集め、また集めた情報を整理し、整理した結果を提供(公表や、難病患者への情報提供、一般向けなど)するよう努力しないといけない、とされています。また、教育活動(教育現場や、生涯学習の一環として)や、広報活動等を通じて、難病に対する正しい知識が一般に広まるように、国や都道府県、また市町村がそれぞれお互いに連携をとりながら、必要だと思われることについて実施して行くことになります。
第2項:国および都道府県(第1項と異なり、こちらでは、「市町村」は外れて来ます)は、難病患者に対して医療の側(医師や看護師など)で携わる人について、難病についての知識のある人材の養成や、資質の向上を図るよう努力しなければならないとされています。また、難病患者が、その難病の性質にあわせた、良質で、適切な医療を受けられるようにするため、国と都道府県がそれぞれお互いに連携をとりながら、必要だと思われることについて実施して行くことになります。
第3項:国(ここでは、第1項、第2項と異なり、都道府県・市町村は外れて来ます)は、難病についての調査や研究、また難病の患者に利用するための医薬品や、医療機器の研究開発が進んで行くように、調査、研究開発が進むような環境づくりを努力してしなければならないとされています。また、以前から課題であった、日本の難病研究や難病患者のデータ(臨床個人調査票など)などを積極的に海外に情報提供し、また海外からも、難病に関する各種情報や研究データ等をもらえるようにするなど、難病についての国際的な連携に努めて行くことになっています。
 また、前に書いた第1項や、第2項の内容が、十分に実施され、また実りあるようにするために、地方公共団体(都道府県・市町村)に対して、必要と思われる技術的な援助や、金銭面での援助をするように努めて行くことになっています。

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